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事実と解釈を分けて話せる人

2026年10月9日

「今日中にやってほしいのですが、間に合いますか?」 「大丈夫です」

仕事において、よくある会話です。聞いた側は「わかりました」と、そのまま仕事を進めるかもこともあるかもしれません。

しかし、このケースで確認したかったのは「今日中に終わるのか」という事実です。返ってきたのは「自分としては問題なさそう」という本人の感触です。

聞いた側は「今日中に終わる」と受け取り、答えた側は「たぶん間に合うと思う」と答えている。その時点で、小さなズレが生まれています。

仕事のコミュニケーションで怖いのは、伝わらないことより「伝わったつもりになること」なのかもしれません。

以前は「お客様の言葉で話せる人」で、"身内ワード"の話を書きました。今回はその延長にある「事実」と「解釈」の話です。

参考:お客様の言葉で話せる人


会話は成立していても、認識は一致していない

「先日のA社、どうだった?」 「かなり好感触でした」

「お願いしていたあの案件、問題ない?」 「大丈夫です」

どちらも会話としては成立しています。ただ、「好感触」「大丈夫」は事実ではありません。事実を見て、その人がどう受け止めたかという「解釈」です。

例えば、A社の「好感触」の裏にあった事実が、次のようなものだったとします。

  • 先方から見積依頼があった

  • 次回は決裁者も同席することになった

  • 競合2社とも比較していると言われた

  • 予算は、まだ社内承認が取れていない

これらが事実です。「かなり好感触だ」と感じたのは、その人の解釈に過ぎません。

この二つが混ざったまま伝わると、聞いた側は「受注確度が高いんだな」と受け取ります。そして月末に、

「A社、決まらなかったの?」 「いや、決まるとは言っていません」となる。

話した側は「ちゃんと伝えた」、聞いた側は「ちゃんと聞いた」と思っているのに、認識は一致していない状態が起こります。


事実・解釈・判断を分けて考える

ロジカルシンキングの場でよく使われる「空・雨・傘」という考え方があります。

  • 空を見ると、黒い雲が出ている。これが「事実」

  • そこから「雨が降りそうだ」と考える。これが「解釈」

  •  だから「傘を持っていこう」と決める。これが「判断・行動」

仕事でも本来はこの順番で考えているはずですが、実際の会話では混ざります。特に混ざりやすいのが、事実と解釈です。

「好感触です」「順調です」「やる気がありません」「お客様は満足しています」。

事実のように使われますが、多くは誰かの解釈です。問題のポイントは、解釈をすることではなく解釈を事実のように扱ってしまうことです。


営業の「感触がいい」は何を意味しているのか

営業の報告であれば、

「先方の反応はかなり良かったです」よりも、

「見積依頼があり、次回は決裁者も参加予定です。一方で競合2社と比較中で、予算承認はまだです。この状況から、私は受注確度は比較的高いと見ています」

のほうが、聞く側は判断しやすくなります。

事実と解釈・判断が分かれているので、上司は担当者の見立てを聞きつつ、自分でも判断できます。

報告とは、自分の結論を伝えることではなく、相手も判断できる材料を渡すことなのだと思います。


「やる気がない」は事実ではない

マネジメントでも同じです。「あの人、最近やる気がないんです」と聞くことがあります。

確認できている事実は、たとえばこんなことかもしれません。

  • 今週3回、朝礼で発言がなかった

  • 先週まで1日30件だった架電数が、今週は15件になっている

  • 本人から「最近ちょっとしんどいです」という発言があった

そこから「やる気が落ちているのでは」と考えるのはマネージャーの解釈です。正しいこともありますが、体調かもしれないし、進め方に迷っているのかもしれません。

厄介なのは、一度「やる気がない」を事実として扱い始めると、その後の行動まで「やる気がない人の行動」に見えてしまうことです。


事実を聞けば事実が返ってくる

ここで、聞く側にもできることがあります。

冒頭の「間に合いますか?」は、見込みを尋ねる質問です。だから、本人の解釈に基づく感触が返ってきます。

「今どこまで進んでいて、何が残っていますか?」と聞けば、返ってくるのは事実になるかもしれません。

これは、前回の「お客様は、なんと言っていましたか?」と同じ構造です。事実を聞く問いを持っておくだけで、返ってくる情報の質は変わります。


明日から使える二つの型

話す側の型は、こうです。「事実は〇〇です。そのうえで、私は△△と見ています」

聞く側の問いは、こうです。「それは、見たこと? それとも、思ったこと?」

意見や解釈を言ってはいけないわけではありません。仕事では解釈も判断も必要です。大切なのは、混ぜないことです。

意見が違っても、事実が共有されていれば話し合えます。 事実と解釈が混ざっていると、そもそも何について意見が違うのかさえ分からなくなります。

「大丈夫です」「順調です」「厳しそうです」。こうした言葉だけで仕事を進めても、その場では問題は起きません。でも、小さなズレが何度も積み重なると、やがて「そんな話は聞いていない」「言った、言わない」という大きなズレになります。


普段の会話、ズレが生じたときに振り返ってみてください。

今、自分が話していることは「事実」でしょうか。それとも「解釈」でしょうか。


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株式会社Katawaraは、「採用で、経営を変える会社です」を掲げ、岐阜県を中心に採用戦略の構築から仕組み化・内製化支援まで、企業に伴走する採用コンサルティング会社です。単なるアドバイスにとどまらず、企業が自ら採用力を育て、自走できる体制づくりを支援しています。

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