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求職者は仕事を探している。でも、あなたの会社を探しているとは限らない
-トイザらス買収報道から考える「予定外の出会い」と採用設計-

2026年9月30日

この記事で分かること

  • 求職者の「求人を見る行動」には計画購買と非計画購買の二種類がある

  • 「予定外の候補」になるための採用設計の考え方

  • 求人閲覧数はあるのに応募が少ない時に見直すべきこと


トイザらス撤退報道から考えた「予定外の出会い」

2026年9月29日、トイザらスが日本での店舗運営から撤退する方針で、ドン・キホーテの運営会社が事業を買収するとの報道がありました。

国内の店舗は約150店。少子化やインターネット通販の拡大が影響したとみられると伝えています。(出典:ドンキ、「トイザらス」日本事業を買収 全150店舗を継承」 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC088Y90Y6A900C2000000/ )


このニュースを見て考えたのは、玩具売り場が持っていた「予定外の出会い」の役割。

かつては店頭で棚を眺め、「こんなおもちゃがあるんだ」と初めて知ることも多かったでしょう。今は気になる商品を検索し、動画で遊び方を見てから買いに行くこともできます。店に入る前に候補を決めている人に、売り場は何を届けられるのか。

赤字の原因は様々な理由があると思うので。このニュースから断定することはできません。ただ「予定外の出会いをどう生むか」という問いは、小売業だけでなく採用にも共通すると感じました。


求職者の行動にも「計画購買」と「非計画購買」がある

マーケティングにおいては、購買行動を「計画購買」と「非計画購買」に分けて考えることがあります。

計画購買とは「ある特定の欲しいものを購入したい」という、目的が決まっている購買行動です。求人で言えば「A社に応募したい」「あの会社の求人を探したい」という状態がこれに近い。

非計画購買とは、店頭に陳列されている商品やディスプレイを見たり触れたりして「体感・体験する」ことにより購買行動を起こすことです。求人で言えば「事務職・岐阜市・月給○万円以上」という条件で検索しながら、並んだ求人の中に初めて名前を知る会社を見つけ、「ここで働くのもいいかもしれない」と感じる状態です。


ドン・キホーテは圧縮陳列や手描きPOPなどによって、商品を「探す・見つける」楽しさをつくってきました。経営理念にも「いつの時代も、ワクワク・ドキドキする、驚安商品がある買い場を構築する」とあります。

(出典:PPIH「ドン・キホーテの買い場の特徴」https://ppih.co.jp/ir/individual/pdf/PPIH_Business_Description.pdf)

買収後にトイザらスの店舗がどう運営されるかはまだ分かりませんが、「予定外に出会い、思わず手に取る」体験を生む売り場設計は注目したい点です。

採用では、求職者のほとんどが後者の「非計画購買」に近い状態で求人を見ています。最初から「この会社に応募したい」と決めている求職者ばかりではありません。

条件で検索しながら、並んだ求人の中で「気になる」「立ち止まる」「詳しく読む」という流れが、応募のきっかけになっています。


求職者が応募に至るまでの心理プロセス

求人広告を見た求職者の頭の中は、こんな流れをたどります。

「自分に合う仕事が見つかるかな…」「どんなバイトをしようかな?」という漠然とした状態から始まり、「希望条件に合うかな?」「この募集条件、本当かな…」という確認の段階へ。

そして「この求人、気になる!」「その条件なら働けるかも!」「応募してみようかな!」「そこで働いてみたい!」という順番で、関心が高まっていきます。

求人広告の大切な役割は、この心理プロセスを通じて「その職場で働きたいと思える人を増やすこと」です。

重要なのは、この流れが「知っている会社」だけに起きるのではないということです。

最初は知らなかった会社の求人でも、条件と言葉が合えば「気になる」が生まれます。そこから「立ち止まる→読む→確かめる」という流れに入れば、予定外だった会社が検討対象になります。


求人に載せるだけで「出会い」は生まれるのか

条件に合う求人を掲載することは、出会いの入口です。ただ、同じ職種・同じ地域の求人が並ぶ中で、「未経験歓迎」「アットホームな職場」だけでは求職者が立ち止まる理由になりにくいでしょう。

例えば、製造業の検査職を探している人に「検査スタッフ募集」とだけ伝えた場合と、「入社後は外観検査から始め、図面の読み方を覚えていく。判断に迷う製品は先輩と確認できる」と伝えた場合。後者には仕事の進め方と、未経験者が抱く不安への答えがあります。

求職者が探していたのは、もともと「その会社」ではないことが殆どでしょう。それでも、自分が働く姿を想像できれば、知らなかった会社が検討対象に入ります。


「発見」から「応募」へ ― 採用設計の三段階

仕事探し・仕事選びは衝動買いとは違います。だからこそ採用で目指すのは、衝動的な応募ではなく、予定外に出会った会社を、納得して検討できる状態にすることです。


①見つけてもらう設計(検索との接点をつくる)

求職者が実際に使う職種名・勤務地・勤務条件を正確に載せる。

検索結果に出会いの入口をつくります。「パート」「アルバイト」「事務」「製造」など、求職者が入力するであろうキーワードで表示されることが第一歩です。


②立ち止まってもらう設計(「自分に関係ある」と思わせる)

見出しや冒頭で、その仕事の特徴を具体的に示す。

「未経験歓迎」と書くだけでなく、何から覚えるのか、誰が教えるのかまで伝える。求職者が「自分にも関係がある」と思える言葉にします。ここが非計画購買でいう「陳列と演出」に相当します。


③確かめてもらう設計(判断に必要な材料を渡す)

求人の続きに、仕事の一日・働く人の声・難しさ・入社後の育成方法を用意する。

良い面だけを飾るのではなく、判断に必要な材料を渡す。以前の記事「採用で『弱み』を隠す会社ほど、ミスマッチが起きる」でも書いた通り、求職者が「自分には合わない」と判断できることも、双方にとって大切なことです。

参考:https://www.katawara.co.jp/blog/message0040


閲覧数はあるのに応募が少ない時の見直しポイント

求人の閲覧数はあるのに応募が少ないなら、仕事内容の理解や不安の解消に課題があるかもしれません。表示や閲覧が少ないなら、職種名や掲載先、検索条件との接点から見直す。どこで止まっているかによって、打つ手は変わります。

採用の改善は「求人全体を作り直す」のではなく、「どの段階で求職者が離れているか」を特定することから始まります。これは以前の記事「採用できた人ではなく、『採用できなかった人』を見ていますか?」で書いた失注分析の考え方とも重なります。

参考:https://www.katawara.co.jp/blog/message0051


あなたの会社は「予定外の候補」になれているか

求職者は仕事を探しています。でも、あなたの会社を探しているとは限りません。

採用は知っている会社の中から選んでもらう競争だけではありません。知らなかった会社に出会い、「自分に合うかもしれない」と気づいてもらう機会もつくれます。

そのために必要なのは求人を派手に飾ることではなく、自社の仕事を求職者の目線で言語化し、出会いから検討までの情報をつなぐことです。

現場の声を聞き、自分たちで内容を確かめ、応募者の反応に合わせて更新する。この積み重ねが、採用を自社の力に変えていきます。


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株式会社Katawaraは、「採用で、経営を変える」をテーマに採用支援を行っています。

求人を出しているのに応募が来ない、閲覧はされているのに応募につながらない。そうした課題に対して、「どこで求職者が離れているのか」を整理し、求人内容・採用チャネル・情報設計を見直すことも、私たちの支援の一つです。お気軽にご相談ください。

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