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採用できた人ではなく「採用できなかった人」を見ていますか?

2026年9月9日

~採用にも「失注分析」が必要~

●営業では「失注理由」を振り返る

営業の仕事をしていると、受注できなかった案件を振り返ることがあります。なぜ競合に負けたのか。価格だったのか。提案内容だったのか。タイミングだったのか。いわゆる「失注分析」です。

受注した案件だけを見ていても、営業活動はなかなか改善できません。むしろ、なぜ選ばれなかったのかに改善のヒントが隠れていることがあります。これは採用でも同じではないでしょうか。

採用の相談を受けていると、「応募が3件ありました」「1人面接しました」「今回は採用できました」といった「採用できた側」の数字は比較的よく管理されています。

一方で、「なぜ応募されなかったのか」「なぜ途中で辞退されたのか」「なぜ内定を受けてもらえなかったのか」については、意外と振り返られていません。

営業では失注を分析する。それなら採用でも、「採用できなかった理由」を分析するプロセスがあっていいと思っています。


●採用には、「見えない失注」がある

ただ、営業と採用には大きな違いがあります。営業では多くの場合「失注した相手」が分かります。しかし採用は違います。

例えば、求人を1,000人が見たとします。そのうち10人が応募した。企業側から見えるのは、基本的にその10人だけです。残りの990人がなぜ応募しなかったのか、その理由はほとんど見えません。給与を見て離脱したのかもしれない。仕事内容がよく分からなかったのかもしれない。「悪くないけれど、応募するほどではない」と思われたのかもしれない。

採用では、失注の多くが「応募」という行動が起こる前に発生しています。ここに採用改善の難しさがあります。


●「応募が来ない」は、原因ではなく結果

採用相談でよく聞く言葉があります。「求人を出しているんですが、応募が来ません」。そこで求人原稿を変える、媒体を増やす、給与を上げる。もちろん、それらが必要な場合もあります。しかし「応募が来ない」という事実だけでは、本当は何を改善すればいいのか分かりません。

求人が表示されていないのか。表示されているけれどクリックされていないのか。読まれているけれど応募されていないのか。会社名を検索した時の情報で不安になったのか。全部「応募が来ない」という同じ結果になりますが、原因はまったく違います。

「応募が来ない」は原因ではなく、結果です。どこで人が離れているのかを分解することが、改善の出発点になります。


●採用の「失注ポイント」を分解してみる

採用活動を営業活動のように捉えると、いくつかの「失注ポイント」が見えてきます。

求人が表示される→求人を見る→詳しく読む→応募する→企業から連絡が来る→面接する→内定する→入社を決める→実際に入社する。

この各段階で、人は離脱します。求人を見たけれど応募しなかった。応募したけれど返信しなかった。面接後に辞退した。内定を出したけれど承諾されなかった。企業側からすると、すべて「採用できなかった人」です。しかし離脱した場所が違えば、考えるべき原因も違います。

求人を見て応募しなかったのであれば、求人内容や条件・ターゲット設定に問題があるかもしれない。面接後に辞退されたのであれば、面接での体験や説明内容に原因があるかもしれない。「採用できなかった」という一つの結果を、どこで失注したのかまで分解する。それだけでも、採用改善の精度はかなり変わります。


●面接辞退・内定辞退は、貴重な情報

企業が比較的情報を得やすいのが、応募後の辞退です。内定を辞退された時、「他社に決まりました」と言われて終わっていないでしょうか。関係性ができているのであれば「差し支えなければ、今後の採用改善のために教えていただけませんか」と聞いてみてもいいと思います。

何が決め手になったのか。自社について不安だったことはなかったか。他社と比較して違いを感じたところは何か。ここで重要なのは、引き留めるために聞くのではないということです。「なぜ当社を選ばなかったのか」を知るために聞く。営業で言えば、失注した顧客に「今回、何が決め手でしたか」と確認するのと同じです。

同じ理由が何度も出てくるのであれば、それは個人の感想ではなく、採用上の構造的な課題かもしれません。


●そして「辞退理由」を額面どおり受け取らない

一方で、候補者が教えてくれた辞退理由が必ずしも本当の理由とは限りません。「家庭の事情で」「条件が合わなくて」。相手も企業に気を遣います。面接官の印象が悪かったとしても、そのまま伝えてくれることはほとんどありません。

大切なのは、一人の回答ではなく複数の事実から仮説をつくることです。どの段階で辞退が多いのか。特定の面接官の後に辞退率が高くないか。返信まで何日かかっているのか。候補者から繰り返し同じ質問をされていないか。こうした情報を組み合わせて、「なぜ選ばれなかったのか」という仮説を事実から組み立てることが、採用の失注分析です。


●採用できた人だけを見ていると「生存者バイアス」が起きる

自社で活躍している人を分析して、「うちに合うのはこういう人だ」と考える。これは重要です。しかし今いる人だけを見ることには限界があります。「入社しなかった優秀な人」は、その分析に入ってこないからです。

自社を選んだ人だけを見ていると、本当は採用できた可能性のある別のタイプを見落とすことがあります。採用できた人から学ぶ。同時に、採用できなかった人からも学ぶ。この両方が必要です。


●「不採用」も採用できなかった人

「採用できなかった人」というと、辞退された候補者を想像しがちですが、企業側が不採用にした人も含まれます。15人を書類選考で不合格にした理由は何だったのか。

「経験不足」「なんとなく合わなそう」といった理由で落としていないか。求人では「未経験歓迎」と書いているのに、面接では経験者を優先する。これでは、集めている人と採りたい人が一致していません。

企業側から断った人を振り返ることも、立派な失注分析です。


●なくすべき失注と、なくす必要のない失注

採用版・失注分析の目的は、辞退をゼロにすることではありません。仕事内容を正確に伝えた結果「思っていた仕事と違ったので辞退します」となった。これは必ずしも採用の失敗ではありません。入社後に「こんな仕事だと思わなかった」と辞めるより、双方にとって良い可能性があります。

一方、あくまで例えですが、返信が5日後だった、面接官がほとんど会社説明をしなかった、求人に必要な情報が書かれていなかった、それが原因で辞退されたのであれば、改善できる失注です。なくすべき失注と、なくす必要のない失注を分ける。ここも重要です。


●採用活動を「学習する仕組み」にする

採用が上手な会社とそうでない会社の違いの一つは、採用活動から学習しているかどうかだと思っています。どの求人が見られたのか。どこで応募につながったのか。なぜ辞退されたのか。入社した人は何に惹かれて応募したのか。

こうした情報を残していくことで、採用活動を重ねるほど「自社は誰に選ばれ、誰には選ばれないのか」が見えてきます。

これは求人広告会社にも人材紹介会社にも完全には蓄積できません。自社の採用活動から得られる、自社固有の資産です。そしてこのデータこそ、採用を内製化していく上で大切なものだと思っています。


●最後に

採用活動では、どうしても「採用できた人」に目が向きます。でも、採用を改善するヒントはその数字の外側にもあります。求人を見たけれど応募しなかった人。面接後に辞退した人。内定を断った人。そして、自社から不採用にした人。なぜ、その人とは採用に至らなかったのでしょうか。

分かる範囲で事実を残し、仮説を立て、次の採用に活かす。採用プロセスのどこに本当の課題があるのかを考えられるようになります。

採用できた人だけを見るのではなく、採用できなかった人を見る。そこには、自社がまだ気づいていない「選ばれない理由」と、次に「選ばれる会社」になるためのヒントが残っているかもしれません。


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株式会社Katawaraは、「採用で、経営を変える」をテーマに採用支援を行っています。

応募数や採用人数だけでなく、求人閲覧から入社までのプロセスを整理し「どこで、なぜ人との接点が失われているのか」を考えることも採用設計の一つです。採用活動を学習する仕組みに変えていくことも、私たちの支援の一つです。お気軽にご相談ください。

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