top of page

「従業員」の定義を、そろそろ変える時が来ている

2026年6月24日

前回の記事を書きながら、もう一つの問いが生まれた。

先日の記事「紹介してもらえる会社には理由がある」の中で、リファラル採用について書きました。

参照:https://www.katawara.co.jp/blog/message0023


社員が自発的に動くためには、採用を「組織全体の問題」として捉えられているかどうかが重要だという話でした。

その記事を書きながら、もう一つの問いが頭に浮かんでいました。

そもそも「従業員」とは誰のことを指すのかという問いです。


●人手不足を「定住人口」で解こうとしている限界

日本の人手不足は構造的な問題です。

少子化・高齢化・生産年齢人口の減少。これらは短期間では解決しない。

中長期的に見ても、働き手の「総数」が増える見通しは立っていません。

こうした状況の中で多くの企業が採用を、どこかに住んでいる人を、自社にフルタイムで迎え入れることとして捉えています。

言い換えれば、人手不足を「定住人口」の文脈から解こうとしている。

しかし、この発想のまま解決策を探し続けても、中長期的には打開策が見えてこないと感じています。


●地域には「関係人口」という発想がある

少し別の文脈を持ち込んでみます。

地方創生の領域で近年注目されている概念に「関係人口」というものがあります。

総務省は、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域や地域の人々と多様に関わる者を「関係人口」と定義し、この関係人口に着目した施策に取り組むことの重要性を議論してきました。 

定住しなくてもいい。観光客でもない。しかしその地域と何らかの継続的な関わりを持っている人たち。

政府は関係人口を地域への新しい入り口として位置づけており、2025年6月には地方創生2.0の基本構想として関係人口を可視化する仕組みを創設する方針を表明しました。

この「関係人口」という発想を、採用・人材活用の文脈に置き換えてみた時、見えてくるものがあります。


●「従業員」の定義を、もっと広げられないか

今の採用の多くは、「この人を従業員として迎え入れるかどうか」という二択で設計されています。

採用するかしないか、正社員か、アルバイトか、入社するかしないか。

しかし実際の働き方は、もっと多様になっています。


業務委託による人材活用は今後ますます一般的になっていくと考えられており、雇用にとらわれない柔軟な人材活用に舵を切り、新たな成長の道を切り拓くことができた事例も生まれています。

1日だけのスポット勤務・特定プロジェクトへの参画・業務委託としてのコンサルティング・週に数時間の副業・複業。

これらは「従業員」という言葉の外側に置かれがちですが、会社にとって確かな価値をもたらす関わり方です。

「従業員」の範囲を、もっと広く再定義できないでしょうか。


●副業・兼業人材の活用が、中小企業でも現実的になっている

2025年現在、副業はもはや単なる「個人の自由」や「許可・不許可」といった問題の枠を超え、企業の人的資本経営やキャリア自律支援において欠かせない戦略的な要素となっています。 

中小企業庁も副業・兼業人材の活用を推進しており、中核業務は社員が担当し、一部の業務や専門性の高い業務を副業人材に委託することで、人手不足の解消・社員の負担軽減・業務の効率化を進めることができるという事例が全国で生まれています。

また、仕事ベースの関係人口として、フリーランスや副業・兼業といった形で地域外から企業と連携し活動する人材が増えており、リモートワークの浸透により遠隔地に住む人材の活用は現実的な選択肢となっています。 

「うちのような中小企業には関係ない」と思われるかもしれませんが、そうではありません。

むしろ、大企業のように常勤の専門人材を抱えることが難しい中小企業こそ、こうした柔軟な人材活用が突破口になり得ます。


●働く人のライフスタイルも、すでに変わっている

企業側だけでなく、働く人のワークスタイルも変化しています。

子育て中で週3日しか動けない人。定年後も専門スキルを活かしたい人。本業を持ちながら地域の企業に貢献したい都市部の人。複数の仕事を並行して持つことを当たり前としている人。

こうした人たちは「フルタイムの求人」という入り口からは見えてきません。従来の採用の網にかからない、しかし確かな力を持った人たちです。

働き手の側が「どう関わるか」を自ら選びたいと思っているこの時代に、企業側が「フルタイムの従業員か否か」という二択しか用意していなければ、出会えるはずの人材と出会えないまま終わります。


●「採用を設計する」とは、関わり方の多様性を設計すること

これまでの記事で、採用は”集める”ことではなく”設計する”ことだとお伝えしてきました。

その設計の中に、「どんな関わり方で働いてもらうか」という軸を加える時代が来ていると思っています。

フルタイムの正社員・パートタイム・業務委託・副業・スポット勤務・プロジェクト単位の参画。

それぞれの関わり方に、それぞれの価値があります。そしてそれぞれに、適した採用の設計が必要です。

人手不足の解決策を「もっと多くの定住人口を採用すること」に求め続けている限り、その問いは永遠に解けないかもしれません。

「関わり方の多様性を受け入れられる企業」が、これからの時代において人材を得ていくのではないか。

そう感じています。


●「従業員」という言葉を超えた先に、採用の可能性がある

リファラル採用の記事で「従業員全員がリクルーターになる」と書きました。

その先に、もう一つの問いがあります。

そもそも「従業員」の範囲をどこまで広げられるか。

1日だけ関わった人が「あの会社は良かった」と語る。業務委託で関わったコンサルタントが次の人材を紹介する。副業で週数時間関わっている人が、その会社のファンとして外に発信する。

こうした「従業員の外側にいる関係者」が、採用の担い手になっていく世界は、すでに始まっています。

「従業員」の定義を広げることは、採用の可能性を広げることでもあります。

どんな関わり方であっても、その人が「この会社と関わって良かった」と思える体験を設計できた企業が、人材の面でも、採用の面でも、次の時代を生き残っていくのだと思っています。



株式会社Katawaraは、「採用で、経営を変える」をテーマに採用支援を行っています。

フルタイム採用だけでなく、副業・業務委託・スポット活用も含めた「関わり方の設計」から採用を考えることも、私たちの支援の一つです。お気軽にご相談ください。

bottom of page