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採用担当者を「置く」だけでは、内製化とは言えない

2026年6月7日

●「採用担当を入れたのに、なぜかうまくいかない」

採用支援をしていると、こんな相談をいただくことがあります。

「去年、採用専任の担当者を入れたんです。でも、なかなか変わらなくて。」

よく聞くと、その担当者は日々、求人媒体の管理・応募者への連絡・面接の日程調整をこなしている。忙しそうにしている。けれど採用の質は変わっていない。内定が出ても辞退される。入社しても早期離職が続く。

そこで「採用担当を置いた意味がなかった」という結論になりかけている。

でも私は、それは採用担当者の問題ではないと思っています。

問題の本質は「採用担当を置いた」ことを「採用の内製化」だと捉えたことにあります。


●採用担当を「置く」ことと、採用が「機能する」ことは、別の話

少し考えてみてください。

営業担当者を一人入れたからといって、営業戦略が整うわけではありません。

経理担当者を置いたからといって、財務の体制が確立するわけではありません。

同じように採用担当者を置いたからといって、採用が戦略的に機能するわけではありません。

担当者に任せられるのは、あくまで「作業」です。

求人原稿の更新・応募者管理・面接の日程調整・入社書類の手続きなど。

これらは確かに必要な業務です。

しかし採用において本当に重要な判断、

「どんな人を採るのか」「なぜその人が必要なのか」「その人に何を期待するのか」という問いは、担当者が決められることではありません。

これは、経営者が考えるべき問いです。


●「採用担当に任せている」は、実は外注と同じ構造

ここに、見落とされやすい問題があります。

以前「なぜ経営者は採用だけ外注してしまうのか」というテーマで書きました。

参照:https://www.katawara.co.jp/blog/message0015


実は「採用担当に丸ごと任せている状態」も、構造的には外注と大きくは変わりません。

判断の主体が、経営から離れているという意味で同じだからです。

人材紹介会社に「良い人を連れてきてほしい」と依頼するのと、採用担当者に「良い人を採ってきてほしい」と任せるのは、形は違っても本質的な課題は同じです。

「どんな人が良いのか」「なぜその人が必要なのか」という定義が経営側にないまま、誰かに判断を委ねている。

その構造が変わらない限り、採用担当を置いても結果は変わりません。


●担当者が変わると採用が止まる会社、変わっても回る会社

もう一つ、内製化できているかどうかを見極める問いがあります。

「採用担当者が退職したら、採用は止まりますか?」

正直にこの問いと向き合ってみてください。

止まる、という会社は少なくないはずです。

どこに掲載しているかわからない・何を基準に選考しているかわからない・どんな条件で内定を出していたかわからない。担当者の頭の中だけに採用が存在している状態です。

これは属人化であり、内製化ではありません。

本当に採用が内製化されている組織では、担当者が変わっても採用の精度が大きく落ちません。なぜなら、「判断の根拠」が組織の中に残っているからです。

どんな人材像を定義しているか。どういう基準で面接しているか。どのように候補者に自社を伝えているか。入社後のどの時点で活躍が見えてきたか。

これらが言語化・共有されている組織は、人が変わっても回ります。


●内製化に必要なのは、「人」ではなく「判断軸」

では、本当の内製化とは何でしょうか。

それは「採用に関する判断が、組織の中に根付いている状態」だと考えています。

具体的には、次のような問いに答えられる状態です。

自社にとって「良い人材」とはどんな人か。それはなぜか。その人はどこにいるか。どうすれば出会えるか。何を伝えれば動いてもらえるか。どう選考すれば見極められるか。入社後に活躍するために何が必要か。

これらを「担当者だけが知っている」ではなく、経営者も含めた組織として保有していること。それが内製化の本質です。

採用担当者の役割は、この判断軸を「運用する人」です。

判断軸そのものを「作る人」ではありません。

判断軸は、経営者が考え、言語化し、組織に落とし込んでいく。

その上に、担当者の業務が乗っかっていく。この順番が正しい内製化の構造です。


●内製化のゴールは「採用担当がいなくても回る状態」ではない

よく「採用を内製化したい」とおっしゃる経営者の方から話を聞くと、ゴールのイメージが「外部への依存をなくすこと」だけになっていることがあります。

これは一つの方向性としては理解できます。

しかし、それだけではゴールとして十分ではないと思っています。

コスト削減を目的にした内製化は、「担当者に押しつける内製化」になりがちです。

採用の判断軸が整わないまま作業量だけが増え、担当者が疲弊し、結果として採用の質は上がらない。

本当の内製化のゴールは、「経営と採用がつながっている状態」だと考えています。

採用で何を実現したいのか、どんな組織にしたいのか、そのためにどんな人が必要なのか。この問いが経営者の頭の中にあり、採用担当者の行動がそこと連動している状態。

それが整った時、採用は「人集め」ではなく「経営戦略」として機能し始めます。


●採用担当者は、経営の翻訳者であるべき

採用担当者に求められる役割を、私は「経営の翻訳者」だと表現することがあります。

経営者が考える「こんな組織にしたい」「こんな人と働きたい」という想いや戦略を、求職者にとって伝わる言葉と体験に翻訳する。それが採用担当者の本来の仕事です。

翻訳するためには、元の言葉が必要です。経営者が何を考えているか、何を大切にしているかが言語化されていなければ、担当者は翻訳のしようがありません。

だから採用担当を置く前に、経営者自身が採用に向き合う必要があります。

「どんな組織にしたいのか」という問いと、真剣に向き合うことが先です。


株式会社Katawaraは、「採用で、経営を変える」をテーマに採用支援を行っています。

求人原稿の作成や媒体掲載といった作業の代行ではなく、「どんな人を採るべきか」「なぜその人が必要なのか」という採用の判断軸そのものを、経営者と一緒に言語化・設計することを大切にしています。

採用担当者がいる会社も、いない会社も「採用が経営とつながっている状態」つくる。

それが、Katawaraの目指す支援の姿です。

採用の内製化や採用戦略の設計について、少しでも気になることがあれば、お気軽にご相談ください。

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