求人広告の前に、「選ばれる理由」はありますか?
2026年5月31日

●応募が来ないとき、私たちは何を改善しようとしているのか
採用に悩む企業とお話ししていると、「応募が来ない」という課題に対して、予算を増やす・掲載期間を長くする・上位表示をする・原稿を修正するなど、求人広告の改善を考えるケースが少なくありません。
もちろん、それらは必要な施策ですが、採用支援の現場で多くの企業を見てきて感じるのは、応募が来る会社と来ない会社の差は、求人広告の前に生まれていることが多いです。
前回の記事では、採用も「自社・競合・求職者」の3Cで考える必要があるとお伝えしました。
求職者は常に複数の選択肢を比較しています。しかもその競合は、必ずしも同業他社とは限りません。
では、その比較の中で自社は何で選ばれるのでしょうか。
今回は、その「選ばれる理由」について考えてみたいと思います。
●求職者は求人広告を比較しているのではなく、「働く価値」を比較している
企業はつい、どの媒体が良いか・どんな原稿が良いかなどに目が向きがちです。
しかし求職者の立場で考えると、比較しているのは媒体ではありません。
比較しているのは「どこで働くか」なのです。。
例えば大学生アルバイトの場合、近所の居酒屋と比較検討しているのは、カフェ、アパレル、コンビニ、ドラッグストア、塾講師、スポットワークなどかもしれません。
求職者は、どの業界かではなく「自分に合うか」でさまざまな選択肢や比較・判断をしているのです。
つまり採用する企業から見た採用競争とは、求人広告同士の競争だけではなく、企業同士の価値競争でもあります。
●求人広告は「拡声器」でしかない
求人広告を否定するつもりはありません。むしろ重要な採用手段です。
しかし求人広告は、本質的には拡声器のようなものです。
伝える力を強くすることはできますが、伝える内容そのものを作ることはできません。
魅力が整理されていない企業は、大きな拡声器で魅力が伝わらない話をしている状態と同じ。
逆に、自社の強みや特徴が整理されている企業は、限られた予算でも求職者の心に届くことがあります。
つまり採用成果を左右するのは、どれだけ多くの人に見てもらったかだけではなく、「何を伝えたか」そして、求職者に「なぜ選ばれるのか」なのです。
●「選ばれる理由」は、時給だけではない
採用力強化というと、時給を上げるしかないと考える企業もあります。
確かに給与は重要ですが、実際の採用現場では、それだけで決まるわけではありません。
仮に時給で求職者の選択肢が決まるのであれば、最低賃金で掲載している企業は候補者が集まらないことになりますが、実際はそんなことは起こっていません。
シフトの柔軟性
学業・育児家事への理解
髪色自由など身なりへの配慮
副業OK
友人同士で応募可能
食事補助がある
誕生日手当がある
資格取得支援がある
上記は沢山ある企業の実例のごく一部ですが、こうした制度や仕組みが求職者にとっては応募理由になることがあります。
企業側からすると当たり前になっていることでも、求職者から見れば価値になるケースは少なくありません。
だからこそ、自社には何があるのかを棚卸しする、何ができるのかを検討することが重要になります。
●条件緩和」と「採用力強化」は似ているようで違う
採用環境が厳しい中で、“応募カテゴリを増やすこと”に少し偏っているのではないかという記事を紹介しました。
参照:「微経験」は本当に採用課題を解決しているのか? https://www.katawara.co.jp/blog/message0012
条件緩和それ自体を真っ向から否定するつもりはありません。ただ、条件緩和はあくまで応募対象を広げる施策です。
一方で採用力強化は、「選ばれる理由を増やす施策」です。
応募対象を広げることと、選ばれる理由を増やすことは同じではありません。
応募数が増えたことと、採用課題が解決したことは別の話だからです。
●選ばれる会社は「選ばれる理由」を増やし続けている
採用がうまくいっている企業を見ると、必ずしも高時給でもありまでんし、大手企業でもありません。
共通しているのは、なぜ自社が選ばれているのかを理解し、それを磨き続けていることです。
求職者の声を聞き、競合を観察し、制度や働き方を見直し、現場の魅力を言語化する。うした積み重ねによって、選ばれる理由が増えていきます。
●採用は、掲載前に勝負が決まっているかもしれない
応募が来ないとき、つい求人広告を改善しようとします。
しかし本当に見るべきなのは、どの媒体を使うか以上に、なぜ自社は求職者から選ばれるのなのかもしれません。
求人広告は、その魅力を届ける手段に過ぎない。」だからこそ、掲載の前に考えたい。
求職者から見たとき、自社にはどんな価値があるのか。
競合と比べたとき、どんな理由で選ばれるのか。
採用とは、募集活動ではありません。
選ばれる理由を作り、伝える活動なのだと思います。
