top of page

採用における「直感」を信じていいのか

2026年7月16日

●面接が終わった後に、こんな会話をしたことはないですか

「なんとなく、合いそうな気がしました。」

「スペック的には問題ないんですけど、なんか違う気がして。」

面接の後、採用担当者や経営者からよく聞く言葉です。

この「なんとなく」「なんか」という感覚。採用の現場では、これが最終的な判断を左右することが少なくありません。

それでは、この直感は信じていいのでしょうか。


●直感を「ない」ことにはできない

採用における直感を完全に排除することはできません。

どれだけ評価シートを整備しても、どれだけ構造化面接を設計しても、最後の判断には必ず「人が人を見る」という要素が残ります。

そしてその見るという行為の中には、言語化されていない判断が混ざっています。

表情・声のトーン・間の取り方・話の組み立て方・目線。これらは評価項目に書けないけれど、確かに何かを伝えています。

直感とは、こうした言語化されていない情報を、経験が瞬時に処理した結果とも言えます。

だから、直感は信じてはいけないとは思っていません。

ただ、直感だけを信じることには、やはり大きなリスクがあります。


●直感には、二種類ある

採用の現場で働く直感には、大きく二つの種類があります。

一つは「経験の蓄積から来る直感」です。

長年採用に関わってきた経営者や採用担当者が感じる「この人はうちで活躍しそうだ」という感覚は、過去に採用した人材のパターンや、入社後の活躍・離職の経験が積み重なって形成されたものです。言語化はされていないけれど、確かなデータに基づいている。

もう一つは「バイアスから来る直感」です。

自分と出身校が同じだから好印象。自分に似たタイプだから安心感がある。第一印象が明るかったから「いい人そう」と感じる。逆に、体の線が細く頼りなく見える。見た目が自分のイメージと違うから違和感がある。

これらは、採用の判断とは関係のない要素が「直感」として現れているものです。

問題は、この二種類の直感が、見た目には区別できないことです。

なんとなく合いそうという感覚は、経験から来ているのか、バイアスから来ているのか。自分では判断しにくいものです。


●「なぜそう感じたか」を問うことから始まる

では、どうすればいいのでしょうか。

直感を排除するのではなく、「言語化する」ことが答えだと思っています。

なんとなく合いそうと感じた後に、一歩踏み込んで問うてみてください。

なぜそう感じたのか。どの瞬間にそう思ったのか。その感覚の根拠は何か。同じ感覚を、別の面接官も持っているか。

この問いを立てるだけで、二つのことが起きます。

一つは、経験から来る直感が「言葉」になっていくことです。「○○について話した時の答え方が、うちで活躍している人と似ていた」「困難な経験をどう乗り越えたかの話し方に、自責の姿勢があった」。こうして言語化された直感は、採用基準の素材になります。

もう一つは、バイアスから来る直感が「見えるようになる」ことです。「なぜそう感じたか」を言葉にしようとした時、「これは採用の判断とは関係ない理由だ」と気づける。言語化のプロセスが、バイアスのフィルターになります。


●採用の「直感」が属人化すると、何が起きるか

直感を言語化せずに放置すると、採用が特定の人の感覚に依存していきます。

社長が「いい」と言えば採用される。ベテランの採用担当者が「違う気がする」と言えば採用が見送りになる。

この状態が続くと、採用の精度は上がりません。なぜなら、判断の根拠が共有されていないから、振り返りができないからです。

採用した人が活躍した時も、早期離職した時も、「なぜそうなったのか」が検証できない。同じ判断を繰り返すしかない。

さらに問題なのは、採用担当者が変わった時です。直感が言語化されていない採用は、その直感を持つ人がいなくなった瞬間に、一から組み立て直しになります。

採用の精度を組織に残すためには、直感を言語化し、基準として共有することが必要です。


●直感と基準が一致している組織は、採用が安定している

採用が安定している企業を見ると、面接官の直感と採用基準が一致していることが多い。

逆に言えば、採用が安定しない企業では、面接官によって「良い」と思う人物像がバラバラです。同じ候補者を複数の面接官が評価しても、全員の意見が割れる。

これは採用基準が、頭の中にあるだけの状態から起きます。

言語化された基準があれば、直感との照合ができます。「この人が良さそうという感覚があるけれど、基準のどの部分がそう感じさせているのか」を確認できる。

直感を基準に照らし合わせることで、採用の判断が個人の感覚から、組織の判断へと変わっていきます。

これが、採用の再現性を高めるということです。


●「いい面接官」とは直感を持ちながら疑える人

採用において最も危険なのは、直感を持たない人ではありません。直感を「正しいもの」として疑わない人です。

長く採用に関わってきた経験は、確かに価値があります。ただその経験が「俺の目は確かだ」という確信になった瞬間、バイアスへの感度が失われていきます。

良い面接官とは、直感を持ちながら、その直感を言語化しようとする人だと思っています。

「なんとなく合いそう」という感覚を持ちつつ、「なぜそう感じたのか」を問い続ける。その問いを積み重ねることが、採用基準を磨いていきます。

直感は、採用の入り口です。そこで終わらせず、言語化の素材として使うことが、採用精度を上げる近道だと思っています。

あなたの会社の採用判断は、誰かの直感に頼り切っていませんか?


----------

株式会社Katawaraは、「採用で、経営を変える」をテーマに採用支援を行っています。

採用基準の言語化・面接設計の見直しから、組織として再現性のある採用の仕組みづくりまで、採用の「判断の質」を高めることも私たちの支援の一つです。お気軽にご相談ください。

bottom of page