「採用の成功」を、あなたの会社はどこで測っていますか?
2026年6月10日

●採用がうまくいった、とはどういう状態か
採用支援をしていると、こんな言葉をよく耳にします。
「先月、2名採用できました。」「今月は応募が10件来ました。」「採用単価を去年より下げることができました。」
どれも、採用活動の結果として自然な言葉です。数字として見えやすく、報告もしやすい。
しかし私はいつも、その言葉の後に一つの問いが浮かびます。
「その方は今、活躍していますか?」
●「測りやすいもの」で測っていないか
採用活動には、数字として見えやすいものと、見えにくいものがあります。
応募数・採用単価・内定承諾数。これらは見えやすい数字です。
求人媒体を使えば管理画面に出てきます。採用担当者が月次で報告できます。掲載費に対してどれだけ応募が来たか、費用対効果として説明しやすい。
だからこそ、これらの数字が「採用の成果」として定着していきます。
ただ、少し考えてみてください。
応募数は、採用の目的でしょうか。
採用単価が下がることは、採用が成功したことでしょうか。
内定を承諾してもらうことは、採用のゴールでしょうか。
これらはすべて、採用という活動の「途中経過」でありゴールではありません。
●採用担当が「応募数」で評価される構造
もう少し深く考えると、この問題には構造的な背景があります。
採用専任の担当者や採用部署を設けている企業では、その部署の成果として何を報告するかという問題が生まれます。
定着率や活躍度合いは、採用してから数ヶ月・数年後にしか見えてきません。採用担当の仕事の結果として示すには、時間がかかりすぎる。
一方で応募数・内定承諾数・採用単価は、今月の数字として出せます。わかりやすく、評価されやすい。
こうして「採用担当が管理しやすい指標」が、いつの間にか「採用の成功指標」になっていきます。
これは採用担当者の問題ではありません。測りやすいものを測ってしまう、という組織の自然な動きです。
しかし、採用の目的と採用の指標がずれていくリスクをはらんでいます。
●アルバイト・パートの「採用単価」という落とし穴
この話をする時、特に中小企業の現場で見落とされがちなことがあります。
アルバイト・パートの採用における「単価」の問題です。
「1名あたりの採用コストが○万円だった」という評価をよく聞きます。
しかしその1名が、週1日勤務なのか、週3日勤務なのかで、会社にとっての価値はまったく異なります。
同じ採用単価で採れた2人でも、稼働日数が3倍違えば、会社への貢献は3倍違う。
にもかかわらず「採用単価」という一つの数字で並べて比較してしまうと、本当に価値のある採用が見えなくなります。
「安く採れた」は、必ずしも「良い採用だった」ではありません。
●「採用できた」と「採用が成功した」は、別の話
整理すると、採用の測り方には大きく3つの視点があります。
媒体・広告の視点では、応募数・応募単価を見ます。掲載費に対してどれだけ反応があったか、という見方です。
採用担当の視点では、内定承諾数・採用人数を見ます。計画通りに採れたかどうか、という見方です。
経営の視点では、定着しているか・活躍しているか・配属先の組織に貢献しているか、という見方7です。
この3つはそれぞれ間違っているわけではありません。どの視点も必要です。
ただ問題は、媒体・採用担当の視点だけで採用を評価し続けると、経営の視点が抜け落ちてしまうことです。
「採用できた」は、スタートラインに立てたという話です。
「採用が成功した」は、その人が組織の中で力を発揮し始めた時の話です。
この二つは、まったく別のことを指しています。
●ゴールが「入社」である限り、採用は消耗戦になる
採用のゴールを「入社」に設定している限り、採用活動は終わりのない繰り返しになります。
入社したら次の採用へ。また入社したら次の採用へ。
定着しない・活躍しない・組織に馴染まない、という問題が起きても、「それは採用後の話」として採用の外に置かれてしまいます。
しかしその「採用後の話」こそ、採用の設計に直接跳ね返ってくるものです。
どんな人が定着しているか。どんな人が活躍しているか。どんな入社経緯の人が長く働いているか。
これらを採用の設計に活かしている企業は、採用の精度が上がっていきます。逆にそこを見ていない企業は、同じ採用課題を繰り返します。
採用のゴールを「入社」から「活躍・定着・組織への貢献」に置き直した時、採用の設計はまったく変わります。
何を採用基準にするか。どんな人に声をかけるか。入社前に何を伝えるか。入社後に何を整えるか。
すべてが、ゴールの置き場所によって変わるのです。
●採用の成功を、どこで測るか
「採用の成功をどこで測るか」は、その企業の採用に対する思想そのものが表れます。
応募数で測る企業は、採用を「集める活動」と捉えています。
内定承諾数で測る企業は、採用を「決める活動」と捉えています。
定着・活躍で測る企業は、採用を「組織をつくる活動」と捉えています。
どれが正しいかではなく、どこを目指しているかによって、何を見るべきかが変わります。
ただ一つだけ言えることがあります。
採用の成功を「入社」より後ろに置いている企業は、採用を経営として捉えています。
採用の成功を「入社」で区切っている企業は、採用をまだ人集めとして捉えているかもしれません。
あなたの会社の「採用の成功」は、どこで測っていますか?
株式会社Katawaraは、「採用で、経営を変える」をテーマに採用支援を行っています。
採用の指標設計・採用戦略の構築から、定着・活躍まで見据えた採用の仕組みづくりまで、経営と採用をつなぐ視点でご支援しています。
「うちの採用の測り方、これで合っているのだろうか」と感じることがあれば、お気軽にご相談ください。
