採用は、本当に“たくさん集める”ことなのでしょうか?
2026年5月20日

今の採用市場では、母集団形成・応募数・PV・CTR・CPAなど、“量”の言葉が非常に多く使われます。
採用市場が厳しくなる中で、間口を広げること自体はもちろん重要です。
ですが、それが本当に”採用の成功”に繋がるのでしょうか。
採用は、本当に“たくさん集めるゲーム”なのでしょうか。
Netflix共同創業者・CEOのリード・ヘイスティングスは、こんな言葉を残しています。
「人間はみんなとてもユニークです。ある意味で、市場の人口は1人だけなのです」
これは本来、顧客理解について語られた文脈ですが、採用にもまったく同じことが言えると思っています。
多くの採用活動では求職者を“集団”として捉えることが多いです。
20代・学生・主婦(夫)・シニア・フリーター・外国人
もちろん、それも必要ですが、実際に人はそんなに単純ではありません。
例えば同じ20代でも、どんな働き方をしたいのか・どんな空気感が好きなのか・何に安心を感じるのか・どんな人と働きたいのかは、まったく違う。
つまり本来、採用とは、「20代市場」に向けるものではなく、“その1人”に向けて考えるものなのではないでしょうか。
私は以前、求人原稿を作る際にクライアントへよくこんなお話をしていました。
「求人広告は、ラブレターに近いと思うんです」
ラブレターって、100人に向けて書きません。“その人”を思い浮かべながら書く。
だからこそ、言葉に体温と体重が乗る。
採用も、実はかなり近いと思っています。
どれだけ応募者を集めても、最終的に入社し働き続けるのは、目の前の“その1人”です。
つまり採用市場は“人口1人の市場”なのだと思います。
「ターゲット」と「ペルソナ」は違う
採用ではよく、20代女性・主婦(夫)層・学生・シニアなど、ターゲット設定が行われます。
それもちろん必要ですが、それはあくまで“属性”です。
実際に人が動くのは、もっと個人的な感情だったりします。
例えば、どんな空気感が好きか・どんな人と働きたいか・どんな働き方が安心か・何に居心地を感じるか・どんな時間を過ごしたいか
そこまで見えて初めて、人は「自分に合いそう」と感じ始める。
つまり本当に大切なのは、「20代女性に向けた求人」ではなく“この1人に届ける求人”なのだと思います。
ペルソナというと「ターゲットを狭める」ように感じるかもしれません。
でも本質は逆です。“その1人”を具体的に想像することで“誰かにちゃんと届く”のです。
「みんな」に伝える言葉は「私」には届きにくい
求人広告は、100人に一斉にメッセージを届けるものだと思われがちです。
でも実際には、“1人に向けて書いた言葉”の方が、結果的に深く届くことがあります。
「こんな働き方をしたい人へ」「こんな価値観の人と働きたい」「こんな時間を過ごしたい人へ」が見える求人は、“自分向けかもしれない”につながりやすい。
「誰にでも届けよう」ではなく、「誰に深く届くか」を考えることで、結果的にマッチング精度が上がるのだと思います。
私は、現場の店長へ「店長のお気に入りをイメージしてください」とお伝えしていました。
少し俗っぽい言い方ですが、現場ではかなり伝わります。
例えば、また一緒にシフト入りたい・忙しくても空気を悪くしない・自然と周りを見て動ける・なぜか現場になじむ
そういう人って、単にスキルが高いわけではない。その現場と、ちゃんと“接続”できている人です。
でも多くの求人は、そういう“現場との相性”を言葉にできていない。
だから、「応募は来るけど定着しない」が起きるのだと思います。
最近は「条件緩和」という言葉もかなり増えました。
未経験OK・年齢幅拡大・シフト自由化・みんな歓迎など…
確かに、応募数は増えるかもしれません。
ですが、現場では「在籍人数は増えたけどシフト稼働は増えていない」という声も少なくありません。
採用市場では、“量を増やすこと”と“現場が助かること”が一致しなくなっている。
ここはかなり重要だと思っています。
例えば、「学生歓迎」より「学校帰りに3時間だけ働きたい人へ」の方が、結果的に深く届きます。
人は「条件」だけではなく「情景」に反応するのです。
本当に必要なのは、「検索」ではなく「接続」
最近の求人市場は、Indeedをはじめとした検索型プラットフォームが主流になりつつあります。
もちろん非常に便利です。ただ一方で少し気になることもあります。
気づけば採用市場全体が、「人」と「仕事」ではなく「検索キーワード」と「求人」のマッチングに寄ってきているように感じるのです。
採用とは、単なる検索結果ではなく“この会社、自分に合うかもしれない”という感覚をどう作るか。
そこが本質なのではないでしょうか。
株式会社Katawaraでは、
採用を単なる“人集め”としてではなく、「人と企業の接続設計」だと考えています。
どれだけ市場が大きく見えても、最終的に向き合うのは、たった1人。
”市場の人口は、1人だけ”なのだと思います。
だからこそ、「何人に届けるか」ではなく“誰に届くか”を考える。
それが、これからの採用ではますます重要になるのだと思います。
