早期離職は「入社後」に起きているわけではない
2026年5月11日

「最近の若者は、すぐ辞める。」
採用の現場では、よく聞く言葉です。
確かにここ数年、入社から数ヶ月で退職してしまう“早期離職”に悩む企業は増えています。
採用費をかけ、教育を行い、ようやく現場に慣れてきた頃に退職される。
企業側にとって、そのインパクトは決して小さくありません。
ただ、このテーマを単純に「最近の若者の問題」として片付けるのは危険です。
「最近の若者はすぐ辞める」は本当か
ただ、厚生労働省が公表している新規学卒者の離職率を見ると、大卒の3年以内離職率は以前から30%前後で推移しています。
令和4年3月卒のデータでも、大卒の3年以内離職率は33.8%でした。
つまり実は、“最近だけ極端に離職率が高くなった”わけではありません。
※参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00010.html
では、何が変わったのか。
それは「離職率」そのものではなく、“離職までの意思決定スピード”が変わったのだと思っています。
昔は、「3年は我慢しろ」「どこに行っても同じ」「辞めるのは根性がない」
そうした価値観が社会全体にありました。
求職者も情報も少なく、転職そのもののハードルも高かった。
だから多少違和感があっても、“耐える”ことが前提だったのだと思います。
一方、今は違います。
SNSで他社の働き方が見える。口コミも見える。第二新卒市場もある。転職サービスも身近になった。
実際、ある調査では「入社2ヶ月以内に辞めたいと思った経験がある」と回答した新入社員は37%にのぼっています。
※参考:https://www.mynavi.jp/news/2025/08/post_50066.html
また、1年未満で転職する若年層も増加傾向にあります。
つまり今は「合わない」と感じた時に“繋がり先を変える”
これが現実的な選択肢となっています。
これは単純に、「若者が弱くなった」という話ではないと思っています。
むしろ、“違和感を抱えたまま働き続ける”ことへの価値観が変わった。
そう捉えた方が、現場感覚にも近い気がしています。
つまり今起きているのは、
“人が簡単に辞めるようになった”というより、
「合わない繫がり」が、以前より早く可視化されるようになったということだと思います。
だからこそ今は、「入社させること」以上に「入社前後の期待値調整」が、以前よりはるかに重要になっています。
早期離職は、「入社後」だけの問題ではない
多くの企業では、採用を「入社させること」で区切ってしまいます。
ですが実際には、早期離職の原因の多くは入社後に突然発生しているわけではありません。
採用段階からすでに始まっているのです。
仕事内容の認識が違った
思っていた雰囲気と違った
誰に相談すればいいか分からない
期待されている役割が曖昧
“ここにいていい”感覚を持てない
こうしたズレが積み重なり、結果として「辞める」判断につながっていきます。
早期離職とは“入社後の問題”というより、「採用から定着までのつながり設計の問題」だと考えています。
「どうすれば働けるか」を設計できているか
最近、採用がうまくいっている企業を見て改めて強く感じたことがあります。
それは「どうすればその人が働けるか」を前提に、業務や役割そのものを再設計していることです。
子育て世代も、シニアも、副業人材も、従来型の働き方に当てはめると「難しい」とされやすい。
でも、働き方そのものを見直せば、活躍できる人は想像以上に多い。
つまり問題は、「人がいない」ことだけではなく、“既存の設計に合わない人を取りこぼしていること”なのではないかと思うのです。
「接点」から始める採用へ
だからこそ最近では、スポットワークや副業など、“グラデーションのある接点”が重要になっていると感じます。
まず短時間働いてみる
まず現場を知る
まず人間関係を知る
まず空気感を知る
その上で、「ここなら続けられそう」につながっていく。
これは企業側にとっても大きな価値があります。
面接だけでは見えない“相性”が、実際の現場では見えてくるからです。
「また一緒にシフト入りたい」
「忙しい時でも空気を悪くしない」
「自然に周りを見て動ける」
そういう人は、単に“スキルが高い人”ではありません。その現場と、ちゃんと接続できている人です。
つまり本当に重要なのは、“誰でもいいから採る”ことではなく、「その会社・その現場に合う人と、どう接続するか」なのだと思います。
株式会社Katawaraでは、
採用を単なる“人集め”としてではなく、「人と企業のつながり設計」であると考えています。
だからこそ、求人だけではなく、働き方や関係性の作り方まで含めて考えています。
これからの採用は、単に「どれだけ集めるか」の時代ではなく、どれだけ自然につながれるか」の時代です。
早期離職は、入社後に突然起きるものではない。
その多くは、“つながりのズレ”として、もっと前から始まっているのだと思います。
