応募数を増やしても採用は成功しない|本当に必要なのは「マッチング精度」
2026年5月9日

「まずは応募数を増やしましょう」
採用の現場では、長い間この考え方が“正解”とされてきました。
実際、求人広告の世界では、PV数、クリック率、応募数など、
“どれだけ集められるか”が重視される場面も少なくありません。
そして近年では、Indeedをはじめとしたクリック課金型の求人プラットフォームも広がっています。
従来の掲載課金型とは違い、クリック数などに応じて費用が発生するこの仕組みは、
より「集める」という思想を強くしていったようにも感じています。
もちろん、Indeedそのものを否定したいわけではありません。
実際、使い方次第では非常に有効ですし、今の採用市場において欠かせないチャネルの一つです。
ただ一方で、こうした構造の中で企業側も「まずは母集団形成」という考え方に引っ張られやすく、
“どれだけ集められるか”という構造に変化はないように感じます。
その中で、現場でよく聞くようになったのが、“条件緩和”という言葉です。
・年齢条件を広げる。
・経験条件を下げる。
・勤務条件を柔軟にする。
つまり、間口を広げることで、応募数を増やそうという考え方です。
もちろん、人手不足の中で必要な側面もあります。
ただ私は、この“条件緩和ありき”の採用には、以前から違和感がありました。
実際、現場で話を聞いていても、こんな声は少なくありません。
「在籍人数は増えた。でも、シフトの稼働はそこまで増えていない」
これは非常に象徴的です。
つまり、“人数”は増えても、現場で本当に戦力化できているとは限らないということです。
応募数が増える。採用人数も増える。
でも…
・定着しない
・戦力化しない
・シフトに入れない
・現場との相性が合わない
これでは採用が成功したとは言えません。
だからこそ今、本当に必要なのは、単なる“母集団形成”ではなく、
「マッチング精度」だと考えています。
では、マッチング精度を高めるために必要なことは何か。
私は、まず「どんな人を採りたいか」ではなく、
「どんな人が現場で信頼されているか」を整理することだと思っています。
ここで、よくクライアントにお伝えしていたのが、
“店長のお気に入り”という考え方です。
少し俗っぽい表現かもしれません。ただ、現場ではこれが一番伝わります。
例えば、
「この人が入ると現場の空気が良くなる」
「また一緒にシフト入りたい」
「忙しい時でも前向き」
「周りを見て自然に動ける」
そんな人、現場にいないでしょうか。
企業はよく、
「いい人が欲しい」と言います。でも、“いい人”は抽象的すぎます。
だから私は、「店長のお気に入りって、どんな人ですか?」
と聞くようにしていました。すると、急に具体化されるんです。
・気が利く
・報連相が自然
・お客様対応が柔らかい
・チームとの相性が良い
・忙しい時ほど空気を悪くしない
つまり、企業が本当に欲しいのは、“スペック上の優秀さ”ではありません。
その現場で自然と信頼され、周囲と関係性を築ける人材です。
ここを整理せずに、「まずは応募を増やそう」になってしまうと、採用はズレていきます。
逆に、“どんな人が現場で活躍しているか”が整理されている企業は強いです。
求人にも、面接にも、教育にも、軸が生まれます。
そして、その“らしさ”に共感した人材が集まり始めます。
だからこれからの採用で重要なのは、媒体を使わないことではありません。
Indeedも、求人広告も、SNSも、すべて有効な手法です。
ただ大切なのは、媒体に振り回されないことです。
応募数だけを追い続ければ、広告費も増え続けます。
一方で、マッチング精度が高まれば、過度に母集団へ依存しなくても、必要な採用が成立しやすくなります。
地方企業の場合、ここは特に重要です。
知名度や待遇だけで大手と戦うのは簡単ではありません。
だからこそ必要なのは、条件競争ではなく、“相性”で選ばれることです。
・どんな価値観を持った会社なのか。
・どんな人たちと働くのか。
・どんな空気感の中で仕事をするのか。
そこに共感した人材は、単なる条件ではなく、“納得感”でつながります。
これからの採用は、単に「どれだけ集めるか」の時代ではなく「どれだけ合う人と出会えるか」の時代です。
応募数だけを追いかける採用は、企業も、働く人も疲弊させます。
だからこそ今、必要なのは、“母集団形成”ではなく、「マッチング精度」という視点なのだと思います。
株式会社Katawaraでは、
採用支援に入る際、まず「活躍している人」を見ることを大切にしています。
なぜその人は定着しているのか、現場から信頼されているのか。
そこを整理することで、はじめて“採るべき人物像”が見えてきます。
